犬を飼いたい、となった時に最初に思い浮かんだのはペットショップ。
大きなショッピングモールには必ずと言ってよいほど店舗が入っていて、今まで何度か足を運んだことがある。犬も猫も陳列されていて、多くの人がそれを楽しそうに眺めている。人の動きに全く反応しないものもいたり、愛想をふりまいているものもいたり。
犬を飼おうかと考えた時に、札幌市内にある大き目のペットショップに行ってみた。犬も猫もゲージに入ってしっぽを振ってこちらを見つめていた。
生後の期間が短い生体の方が小さくて可愛くて頼りない。そして人気があり、値段も少し高めに設定されていた。ペットフードとセットで購入すると安くなります、という張り紙があった。
店員さんらは、興味があるお客さんのためにゲージを開けては説明を繰り返している。並んでいる中の動物を比較して購入するという行為をその時は素直に受け入れることができなかった。田舎育ちの価値観ということだろうか。後から考えると、ペットショップで運命的な出会いがなかったことも一因かもしれないと思い直した。世界は物語でできている。それぞれの立場や状況に応じた物語を肯定して受け入れていく必要がある。縁があるかどうか、それに尽きる。
北海道で育てるので、北海道産まれの犬が良いと思った。自分らが子どもの頃に経験したように、いっしょに雪の中を歩いたり、山の中を歩いたり、川で泳いだりできたら楽しいだろうな。同じような環境に産まれ暮らしていたほうがより楽しく遊べるし、冬の寒さにも負けないだろうと考えた。
良い縁があれば、いつかそんなタイミングがあれば具体的に検討しよう焦らずに。
洋犬も和犬もいるけれども環境や家族にあうのは外でもいっぱいあそべそうな和犬の中型犬のたくましいオスが良い。北海道犬も候補に挙がったけれども、気性の荒さを経験済みだったので今の環境にはマッチしないだろう。ということは柴犬が良い。
柴犬テツの思い出を今も大切にしている母ちゃんの希望は、テツを思い出し過ぎないように、赤(茶色)ではない犬の方が良い。ということは黒柴。
これまで気にしたことがなかったが、ペットショップ以外の選択肢ということで、北海道内の柴犬ブリーダーについて調べてみた。
柴犬でも顔も違えば体系も違う。家族の希望はできるだけ、健康でがっしりとしたたくましく育ちそうな犬。ひょろっとしたのではなく、子どもたちと一緒に(大人は後ろから・・・)元気いっぱい駆け回る犬が理想。夜な夜なWebの海を泳いでたどり着いたブリーダーさんの雰囲気は他と違って見えた。
写真で見る犬の顔はどれも凛々しく逞しく、がっしり健康でどの犬よりも魅力的に見えた。腕が太く、顔が力強い。黒も赤も魅力的だった。いつかご縁があって迎え入れることができるならば、このブリーダーさんから譲り受けたい。
Webサイトに公開されていた子犬のリストを見てみたが、現在は譲ってもらえる子犬はいないみたいだった。いつか子犬が産まれたら相談できるかもしれないと連絡してみることにした。そこにいる犬たちを実際に見てみたい。写真だけだとわからないこともある。失礼にはならないように、こちらの犬への想いを書き添えて夜中に見学希望のメールを送った。返信のメールを読んで父母はびっくりした。思いがけないブリーダーさんからの嬉しい提案は子どもたちには内緒にしておいた。子犬の名前がかっこよかった。その名前を見た瞬間に、ああ、これは運命なのだなと父は思ってしまっていた。
在舎が決まっていた一頭の子犬をブリーダーさんの家族で相談した結果、特別に譲ってくれるという。黒柴の雄、2020年12月札幌産まれ。びっくり仰天。読んですぐ、「お願いします!」と返信したかった。だが、それは違うように思えて踏みとどまった。先ずは直接ブリーダーさんにも子犬にも会って確かめたい。そして、こちらのこともなんというかあやしくないことを確かめてもらいたい。
そうやって巡り合えたブリーダーさんのもとに向かい、Kさん、子犬とマスク越しで対面させてもらった。色々な懸念とか心配とか、全部吹き飛んでしまうほどの子犬の魅力に家族全員圧倒された。何枚か撮影させてもらった写真を握りしめて、迎え入れる日を指折り数えることになった。犬本来の魅力を尊重しながら、人と良好な関係を築けるような犬を育てるKさんの考え方には、頷くことがたくさんあった。
ブリーダーKさんの生後60日を過ぎないと子犬は引き渡さないルール、ワクチンは小さい時には子犬のために打たないという考えや、去勢は基本的に必要ないという言葉から、人が基準ではなく、犬を基準に物事を判断する想いが伝わってきた。
偶然Web上で子犬に振られた番号と同じ日に、初めてあった時より少し大きくなっていた天を譲り受けた。「心配なことがあったらいつでもなんでも連絡ください」と言ってくれたブリーダーKさんの言葉が心強かった。立派な犬に育ってもらうことが最大の恩返しと勝手に考えている。
ブリーダーさんから犬を譲り受けるということは、子犬の育った環境がわかり、子犬の両親のこと、育て方がわかるということだと後からわかった。天の兄弟たちの顔を見ることもできて、将来の姿も想像することができた。
子犬の名前をどうしようか考えた末に辿り着いた「天」という名前は、子どもらがいくつもの案を検討した結果、血統証にもある本名から一文字取ったものだ。てんてんてんてん、家ではいつも天の声が響き渡っている。
(追記)
半年経って振り返ると、犬との出会いは一期一会、それに尽きる。
自分らはブリーダーさんとのご縁に恵まれることができた。ペットショップでも、それ以外でも良縁があればそれは最高の瞬間。犬も人も幸せな関係を築くことができる出会いであること、それに尽きる。
末長く、楽しく、平和に。そんな犬ライフを送りたいですね。
ブリーダーさんについて
紹介しても大丈夫だとおっしゃっていただいた、ので
犬を譲っていただいたのは、札幌のブリーダー「柴犬専門犬舎 蝦夷濃飛荘」さん。
雄北不動荘の札幌支部も兼ねられている。
天のお母さん
凛々しい。
外まで見送りに来てくれた。
天の兄弟たち
めっちゃ顔を挟めてまでこちらに寄って来てくれる。
見ているだけでも可愛い。
ゲージ越しに優しく接してくれて、気性の良さが伝わってくる。
最後にブリーダーさんのURL紹介させていただいて長くなってしまったこの記事はおしまいとします。
ファミリーブリーダーさんも合わせてご紹介!
柴犬・トイプードル専門店 [KTM Dream Factory合同会社]
追記
その後、天はすくすくと成長しています。
家に来てから2週間ちょっとの成長記録はこちら
毎日日増しに大きくなる姿を留めておきたくて、youtubeにまとめ動画をupしています。
生後100日ぐらいの姿です。
初めての川遊びの様子。
2ヶ月経って里帰りの様子を動画にまとめました
柴犬の一年
体重は3〜4倍、一年で12キロぐらいになりました。
犬ってこんなに大きくなるんだと改めて実感。
ハーネスも、ケージも、マットも、何もかも余裕を持って買ったつもりなのに小さく見える毎日。
子犬は小さくてかわいいけれども、大きくなった犬も可愛いです。
あっという間に大きくなるので、小さいうちから記録に残しておくと後から楽しめます!